乳腺センターついて
日本女性が生涯に罹患する悪性腫瘍のうち、最も罹患率の高いものが乳がんで、9人に1人が生涯に経験するとされています。
当院では、南河内地区の乳がん検診施設として、近隣自治体からの一次検診を受け入れるとともに、精査・診断・治療も幅広く行っており、2016年4月に乳腺センターを発足させました。
患者さんを中心に乳腺外科、放射線、病理診断の専門医と看護師、放射線技師、検査技師、薬剤師、リハビリ専門職、リンパ浮腫セラピスト等が密に連携しチーム医療を行います。
乳がん診療の流れ
乳腺外来
月、水、金曜日に外科外来にて乳腺専門医が外来診療を担当しています。
乳癌検診での資料や紹介状をお持ちであればご持参ください。
直近の検査資料がない場合は、マンモグラフィーや超音波検査を受けていただき、乳がんを疑う所見があればMRIやCT等の画像検査、細胞診や針生検などを行い、診断・治療をすすめていきます。
初診時の代表的な検査である「マンモグラフィー」と「超音波検査」を紹介します。
当院ではいずれも認定資格を有する女性技師が担当しております。
マンモグラフィー(検査)
“マンモグラフィー”とは、乳房X線検査で乳がんを早期に発見する検査として広く用いられています。
検査方法は、上下方向から押さえる撮影(CC)と、やや斜め方向から押さえる撮影(MLO)の2方向撮影を行います。
撮影時は、乳房を引っ張り出して圧迫をかけていきます。
痛みの感じ方は個人差があるので、痛みが最小限になるように様子を見ながら圧迫します。
(必要以上に圧迫をかけることはありません。)
この時、できるだけリラックスして力を抜くことも圧迫による痛みを軽減するポイントです。
乳房内の乳腺組織を広げ、圧迫固定することにより、動きによるブレや触診ではわからない初期の小さな病変を見つけることができます。
そして、乳房の厚みに応じて線量を調整する為、乳房の厚みを薄くすることで被曝線量を少なくすることができます。
(乳房厚を1㎝薄くすると、被曝量は半分になります。)
当院では、日本乳がん検診精度管理中央機構の認定を受けた女性放射線技師が検査を行っており、“マンモグラフィ検診施設画像認定”も取得しています。検査を受けたことがある方も、また初めての方も安心してお越しください。
※3Dマンモグラフィ撮影が可能
臨床画像(MLO)
腫瘤性病変
石灰化病変
臨床画像(MLO)
乳腺超音波検査
乳房に超音波をあて、はね返ってくる反射波を画像化する検査です。
乳房表面にゼリーを塗って、その上からプローブと呼ばれる機械をあてて乳房内を写します。
マンモグラフィのように微細な石灰化を写すことには適しませんが、乳房の内部の構造を観察しながら触診では触れない小さな病変を見つけることができ、早期に乳がんを発見する検査として広く用いられています。
痛みはなく放射線を使わないので妊娠中でも検査が可能です。
乳腺の発達している若い女性では、マンモグラフィより比較的正確に把握できます。
また、画像を見ながらしこりの大きさや状態、広がり具合まで観察することができます。
しこりの中には乳がんだけでなく、治療の必要ない良性のしこりもあります。
画像だけで判断できない場合は、細胞診や組織診といったひとつ進めた検査を同時に実施することもあります。
当院は日本超音波医学会の研修施設に認定されており、超音波検査士の認定を受けている女性技師が検査を行っています。
安心して検査をお受けください。
乳がん病変の超音波像
Aplio400
乳がん治療の流れ
しこりの大きさ、リンパ節転移の有無、組織型、悪性度により手術前に薬物療法(3~6ヶ月)を行うことがあります。
手術入院期間は4~10日間でその後に薬物療法、放射線治療を単独あるいは組み合わせて治療します。
手術の種類
乳房温存術
しこりを中心とする乳腺の一部を切除し、乳頭・乳輪を残す手術法です。
しこりの大きさが3cm以下1カ所のみでがんが乳房内に広がっていないことが条件になり、通常は術後に乳房照射を行います。
乳房切除術
がんができた乳腺をすべて切除する術式で以前は大胸筋や小胸筋などの筋肉をいっしょに切除することが多かったのですが今では胸筋を温存する胸筋温存乳房切除術が大半を占め、乳房再建を前提に乳房皮膚や乳頭・乳輪を残す手術も行っています。
乳房再建術
患者さんの希望により失われた乳房を形成外科との連携により再建することが可能です。 乳房切除される方で再建をご希望の方はご希望を聞いた上で当院形成外科へ紹介させていただきます。 乳房再建術には、一次再建(乳がん切除と同時に乳房再建手術を行う方法)と二次再建(手術や化学療法などの治療が一段落した後に行う方法)があります。また、自家組織を使って再建する皮弁法とシリコン乳房インプラントを用いた乳房再建術があります。
腋窩郭清とセンチネルリンパ節生検
術前にわきの下のリンパ節(腋窩リンパ節)に転移が確認された場合は腋窩リンパ節を取り残しがないよう切除します(腋窩郭清)。一方、腋窩リンパ節への転移が術前に確認できない場合はがんが最初に到達する”見張り”リンパ節(センチネルリンパ節)を手術中に数個摘出し、転移の有無を病理検査で確定し転移があれば腋窩郭清を追加します。
薬物療法・化学療法室について
薬物療法には、抗がん剤や分子標的薬、ホルモン療法などがあります。
一部の治療を除き、薬物療法は外来通院で行いますが、抗がん剤治療は投与時に安全対策が必要となるため、外来化学療法室で行います。安全に投与し、投与中も安心して過ごして頂けるよう専任医師や看護師、薬剤師などの専門スタッフを配置しているほか、リクライニング式チェア・ベッドを準備し、リラックスして治療を受けて頂けるよう環境を整えています。
術後のリハビリについて
乳癌の術後は、肩が上りにくくなったり、リンパ浮腫を発症することがあります。
そのため、当院では専門的なリハビリテーション体制、リンパ浮腫予防に関する指導・治療体制を整え、手術後にスムーズに社会生活に復帰できるようサポートをさせて頂きます。
肩のリハビリテーション、リンパ浮腫診療に関する詳細は、下記またはリハビリテーション科ホームページをご確認ください。
すべての人が肩が上りにくくなるとは限りませんが、術後まもない時期は手術に伴う違和感や痛みなどから肩を上げるのに不安がある方も多くいらっしゃいます。
当院では術後の肩の状況を確認し、万が一上がりにくい場合には専門職と肩のリハビリテーションに取り組める環境を提供しています。
<術後リハビリテーションの流れ>
・手術翌日またはドレーンチューブ抜去後よりリハビリテーションが始まります。
・必要に応じて、入院中、退院後は外来でリハビリテーションに一緒に取り組みます。
<肩のリハビリテーションのポイント>
肩の上がりにくさが生じた場合は、機能改善を図るとともに、退院後の生活で「どんなことに困りそうか?」専門のセラピストが一緒に考え、対応方法(上がりにくい期間の工夫点)なども練習します。
ですので、生活上の不安などがあれば遠慮なく担当のセラピストにご相談ください。
リンパ浮腫については、正しい知識を身につけることが浮腫の予防、早期発見に有効であることが報告されています。そのため、当院では手術を受けられた皆様にリンパ浮腫について知って頂けるよう、マンツーマンでご説明する機会を設けています。
一般的に「重いものを持ってはいけません」「怪我をしてはいけません」などといった安易な説明をされていることが多くありますが、このような指導をすべて守ろうとすると生活が成り立ちません。ご自身の生活に合わせて、リンパ浮腫の予防のためにどんな工夫ができるのか、一緒に考え、それを生活の中に取り入れることができるようにサポートすることを当院では大切にしています。
「万が一、リンパ浮腫になってもこの病院なら対応してくれる」そのように安心して、手術、治療に臨んでいただけるようサポート体制を整えています。
当院はリンパ浮腫セラピストの専門資格を有するセラピストが配置されており、がん専門医療機関に準ずるリハビリテーション、リンパ浮腫治療(保存的治療)体制を整えているのが特徴です。2023年度からは有資格者が4名体制となり、さらに治療体制が充実しました。
リンパ浮腫でお困りの方は、まずは各診療科の医師までご相談ください。
スタッフ紹介
専門領域
内視鏡外科(腹腔鏡手術)
消化器外科
専門医・認定医
日本乳癌学会乳腺専門医・指導医
日本消化器外科学会指導医
日本ヘルニア学会評議員
日本内視鏡外科学会技術認定取得(一般外科:ヘルニア)
日本がん治療認定医機構暫定教育医
近畿外科学会評議員
検診マンモグラフィー読影認定医(AS)
所属学会・資格等
日本消化器外科学会
日本乳癌学会
日本乳癌検診学会
日本内視鏡外科学会
日本臨床外科学会
日本癌治療学会
日本ヘルニア学会
専門領域
外科
専門医・認定医
日本乳癌学会乳腺認定医
検診マンモグラフィ―読影認定医
インフェクションコントロールドクター
所属学会・資格等
日本消化器外科学会
日本臨床外科学会
日本乳癌学会
日本乳癌検診学会
日本外科感染症学会
日本静脈経腸栄養学会
日本ヘルニア学会
外来担当医表
時間帯 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
午前 | 加藤 荻野 藤井 第1 (ストーマ) | 予約制 全日 手術日 | 辻江 阪尾 吉川 第1・3 (ストーマ) | 予約制 全日 手術日 | 吉川 荻野 藤井 | 紹介のみ |
午後 専門外来 (予約制) | *阪尾 (乳腺) | *阪尾 (乳腺) *加藤 | *荻野 (乳腺) |